MATO PARENTS JOURNAL
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RAINBOW
性別の垣根を超える、ニュージーランドの子育て
Shigeno Kondo
Kia Ora!
ニュージーランドからこんにちは。
日本の皆さんが桜の季節を迎えていらっしゃるこの時期、
NZでは秋の訪れを感じております。
爽やかな秋晴れが美しい
前回のジャーナルでも触れましたが、
私は現在、育時休暇をとりながら娘の育児に専念中。
産後、母親業以外で役割をいただいたのは、こちらでの活動が初めて。
このライター募集のお知らせを知った時は、
直感で挑戦してみたい!と決めたものの、
応募blogを書き上げるのになんと3週間以上もかかり。
無事に提出できたのは、締め切り日の前日。
(この時は、間に合ったということに感動するレベル)。
採用のご連絡を受けた時は、
記事に掛けた時間が気になったものの、
いくら容量の悪い私でも責任感も相まり追い込まれたら手際良くできる!と
根性論を持ってお受けしました。
しかし、最初の記事には2週間。
次の記事は少しピッチが早くなったものの、それでも10日間。
これは皆さんに共通だと思いますが、
まず、時間がない。
育児をしながら時間を作ることは、思った以上に難しいことを今更ながらに知る。
けれど、理由はそれだけではなく、
娘が寝ている間や、夫にお世話を交代し、
なんとか時間を見つけていざパソコンに向かっても、
さぁやろう!
という気持ちとは裏腹に頭が回らない。
大学の論文でも仕事の企画書でも無いのに…。
この後、仕事の復帰を予定している私は、この集中力の無さに焦りがつのる。
『世の中のパパさん、ママさんって
一体全体、どうやってこれをクリアしてるの?』
そうなってくると、子育てのあるあるで、
“他のみんながちゃんとできていることをなぜ私だけできないんだろう…”
娘が産まれてからもう100万回くらい思っている
呪縛のような言葉が脳内をノンストップでめぐる。
自分の経験をシェアすることで
少しでも同胞である皆さんの
心が軽くなればと始めたことなのに…
まったく、本末転倒とはこのこと。
しょうがない。
これが今の自分なんだ。
全く書けない月があってもいい。
自分のキャパとして受け入れよう。
そんな話を先輩ママに話したところ、
『それが今の自分のキャパと決めるのはどうだろう?』
という意外な返答。
産後、ずっと赤ちゃんのペースで動いてきたんだから、
目の前に仕事があるからって、
すぐに自分のペースにスイッチが入るわけじゃないと思うよ。
“母親以外のリズムをまた一から作り直すこと”は
ずっと大変なんだと彼女は言う。
確かに、娘が産まれてからというもの、
娘の泣き声と共に1日が始まり、それからずっと娘ベース。
特にハイハイが始まった娘の行動範囲は、
瞬間移動したのか?と思うほど。
数秒後には思いもよらない場所にいる。
ハイハイし出したら、待ったなし!全くもって過大予告ではなかった…
娘の後を追いかけながら、
合間に家事をこなし1日は終わる。
夜の授乳もある中で、
それは寝ている時も変わらない。
育児脳のスイッチはずっとONのまま。
そしてその先輩ママ、
娘を自分に預けて、家の外でこのジャーナルを
書いて見たらどうかとオファーしてくれた。
『この空間に娘ちゃんといる限り、頭は娘ちゃんでいっぱいだよ。』
娘脳のスイッチがoffになる環境に自ら出向けということらしい。
ありがたいと感謝する一方で、すぐに返事ができずに戸惑う。
本当にいいのかな…。
娘は大丈夫かな。
そんな私の心を察した彼女は続ける。
『産後の仕事復帰のコツは、まずは自分のリズムを作り直すこと。
それには思い切って、一度、娘ちゃんから離れることって大切。』
3人ものお子さんを抱えて働いてきた彼女が言うことだ。
きっと、これはとても大事なことなんだ。
そうして私はこの有難いオファーをお受けし、今この記事を一人、カフェで書いている。
結果は、
物理的距離は心理的距離に比例したのか。
自宅で取り掛かるのとでは作業のペースが全く違う。
アイデアが浮かび、文字にするのも格段に早い。
久々に仕事モードに切り替わった実感に
よかった、と安堵する。
娘が産まれてから単純にやるべき家事は増えた。
その上、娘を相手にしながらの作業は
これまでの倍、もしくはそれ以上の時間が掛かる。
しかし、やることが後から後から続いてしまう…
ということは今に始まったことでもない。
結婚してから私が家事にかける時間は明らかに増えた。
共働きの私たちは家事は分担にしてきたし、
一人暮らしの長い彼は殆どの事は自分でできる。
それなのに、他でもない私自身が、
トイレ掃除、床磨き、食材の管理…
こうした夫が気が付かない、見えない家事を
“女である自分がやるべきこと”だと
いつの間にか余分に抱え込んでいった。
そのことに気が付いてからは夫に丸投げをしたり、
今日はここまで!と意識することを心がけ、
自ら背負ったタスクを減らし、
その分、自分や仕事に時間を回してきた。
しかし、こと娘のこととなると、それが非常に難しい。
まずは単純に目を離すのが心配でたまらない。
一緒にいない間にもし何かがあったら?
悔いても悔やみきれない。
そんな不安を抱えるなら、
一緒にいて心身共にヘトヘトでいた方が
マシに思えてしまう…。
いっその事、体力の限界でギブアップでもしたらいいのだろうけれど、
“無力な我が子を守ることができるのは私しかいない!!!”
と言わんばかりに湧き出るアドレナリン。
疲労は時に限界を超えて、夫に理不尽に爆発する事もあるが、
その後には割と気力、体力ともにケロッと回復してしまうのだ。
更に娘の笑顔や成長を見ると、
そのエナジーは倍増にもなるという、
育児脳にはなんとも幸せな落とし穴?まである。
こうして私の育児脳のスイッチはONのまま、
母親の時間はエンドレスに続く。
育児に終わりが無いとは、こういう状況も含めて言うのか…。
“女は家で家事と育児というバイアスだけが
私をそこに縛り付けているのだと思っていたのに…。”
私は何にもわかっていなかったなぁ。。。
ふと、カフェで子供の声が聞こえる。
娘と同じくらいの子だろうか。
娘が泣いたりグズればすぐに戻るから
教えて欲しいと頼んであるけれど、いまだ先輩ママからの連絡はない。
作業も結構進んだし、
今日はここまででいいかなぁと思い始めた頃、
見計ったように娘の写真が送られて来た。
『娘ちゃんは元気です。ご心配なく、お仕事進めてください!』
本当だ。
はじけんばかりの笑顔で笑っている娘。
会いたいな。
子離れが必要なのはどうやら私の方。
そう思いながら、閉じかけたパソコンをまた開き、
点滅しかけた仕事脳のスイッチをONにしなおした。