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かわいい息子が「みんなの無意識をほじくり回す」。作家・大田ステファニー歓人が今感じていること
MATO JOURNAL 編集部
ペアレンツびと Vol.05 - PARENTS ケロポンズ
MATO by MARLMARLでは、「マザーズバッグからペアレンツバッグの時代へ」 と題した、社会全体の子育て意識を拡げるプロジェクトを進めてきました。
本シリーズ企画では、自分らしいスタイルで子育てを楽しむ「ペアレンツ=子育てに携わるすべての人」に光を当ててお話を伺います。
今回のゲストは「エビカニクス」でお馴染みのお二人。子ども向け音楽や振付の制作を手掛け、親子コンサートなどに年間100公演以上出演する「ケロポンズ」のポンさんとケロさんにインタビュー。
親子で楽しめる時間を提供するおふたりが、子どもと接するときに意識していることとは?子育てシェアの実体験や考え方、ペアレンツへ伝えたい想いを伺いました。
左・ポンさん / 右・ケロさん
── お二人は長年、ケロポンズの活動を通してたくさんの子どもたちと触れ合ってきました。コンサートなどでお子さんと触れ合うときに、強く意識していることは?
ポンさん(以下、ポン):まずは何より、子どもの気持ちを尊重することですね。コンサート中のダンスなどは「やりたかったら一緒に踊ってね」というスタンスでやっています。
ケロさん(以下、ケロ):以前、みんなが楽しんで踊っている中、一番前で頑なに踊らない子がいたんです。私たちは、その子の「踊りたくない」という意思を大切にしているので、無理に踊らせるようなことはしたくありません。それぞれ、自由に楽しんでもらえればいいんです。
ポン:個性はもちろん会場の空気もあるし、その日によって子どもたちの反応が違うので、様子を見ながら臨機応変にコンサートのプログラムも調整していますね。
── ケロポンズとして活動をする中で、最も喜びを感じる瞬間はどんなときでしょうか。
ケロ:子どもが笑ってくれたり、話しかけてきてくれたり、ジャンプして楽しんでいる様子を見せてくれたりしたときに、喜びを感じますね。
ポン:最初は黙って見ているだけだった親御さんが、だんだん笑ってくれたりダンスに参加してくれたりしている姿を見るとすごく嬉しくなります。「子どもより親の方が楽しんじゃいました!」と言われたこともありました。親子コンサートは子どものためのイベントに見えるかもしれませんが、本当はみなさんに楽しんでもらいたいんですよね。
── ケロポンズのステージを通して、家族の普段とは違う顔が見られるのも面白いかもしれませんね。
ケロ:私たちと会っている時間は「とにかく楽しんでほしい!」という気持ちがあります。初めてコンサートに来て泣いてしまった子がいたら、「大丈夫だよ。ポンちゃんはゆるキャラだよ〜」などと言って、ちょっとでも安心してもらえるような声かけをしています。
── 常に子どもに寄り添っているのが伝わってきます。長年子どもに触れ合ってきたお二人が、子育てを取り巻く環境に、時代の変化を感じることはありますか?
ポン:やっぱり子育てシェアの空気は広がりましたね。コンサートも、お父さんの参加率がすごく増えました。ケロポンズとして活動を始めた頃は、やっぱりお母さんと子どもの組み合わせが多かったんです。お父さんが来ていても、連れて来られて仕方なく見ている感じがすることもありました。
ケロ:今はお父さんにマイクを向けるとおもしろいことを答えてくれたり、舞台に上がって一緒に踊ってくれたり。お父さんも積極的に参加してくれるようになりましたね。
たくさんの親子を夢中にさせた「エビカニクス」の爪
── 結成から25年が経った今、お二人自身の変化は?
ケロ:昔は目の前の子どもを楽しませようと一生懸命にやってきたけど、年齢を重ねたり経験を積んだりしたことで、より客観的に子どもを見られるようになりました。逆に言えば、今どきの若い人の感覚がわからなくなってはいるんですけど……(笑)。
ポン:でも、子どもという生き物はいつの時代も変わらないですよね。おもしろければ笑うし、嫌だったら怒るし、悲しかったら泣く。何年経っても子どもという存在自体がおもしろいです。
── ポンさんは双子の女の子のペアレンツでもあります。出産や子育てを経て、子どもとの向き合い方は変わりましたか?
ポン:私の子どもは一卵性の双子ですが、ひとりは社交的な子で、もうひとりは内向的な子。全然性格が違うふたりを見て、子どもは自分の分身ではないことを実感したんです。それから、改めて子どもと「1人の人間として向き合っていこう」と思うようになりました。
── ケロポンズとして活動しながら双子を育てるのは大変なときもあったと思います。周りの方と子育てをシェアすることはありましたか?
ポン:最初は「子どものことは全部自分でやりたい!」と思っていたのですが、いざ始めてみると周りに頼らないのは無理だとわかって。
私、途中からシングルマザーになったんです。ケロポンズとしては泊まりの仕事も多いので、自分と周りの手だけでは足らず、子育て支援センターも活用しました。当初、子育て支援センターでは泊まりのサポートは受け付けていなかったのですが、窓口の方に相談したら、会議をしてくださって。地域で初となる泊まりでの子育てサポートが始まったんです。
サポートしてくださった方々には子どもが高校卒業するまで面倒を見てもらっていて、今では娘とごはんを食べに行って恋愛相談をする仲になってるんですよ(笑)。人生を丸ごとサポートしてもらえる関係性ができたので、子育て支援センターを頼って本当によかったなと思っています。
ケロ:日々子育てに向き合っている方々にも、もっと積極的に周りを頼っていいことを伝えていきたいですよね。私も親戚のような気持ちで、双子の成長を見守ってきました。まさに、MATOさんの謳う『ペアレンツ』の一員として、ですね。
ポン:家族のかたちはそれぞれ。一人や二人だけで頑張ろうとせず、いろんな人に助けてもらいながら、自分たちにとってベストな子育ての仕方にどんどんシフトしていくのが大事なのかなと思います。
── 子育てシェアをしてきたお二人から、世の中のペアレンツたちにアドバイスはありますか?
ケロ:「悩んだときは子どもに相談することも大事だよ」と伝えたいですね。
ポン:私が子育てでいっぱいいっぱいになってしまったときに、私たちの恩師である柴田愛子さん(「りんごの木」代表保育者)に「もう無理だ!私、もうやっていけない!」と助けを求めて電話したんです。
そのときに、柴田さんから「大変なこと、子どもには相談したの?」と言われて。当時は小学生だった子どもたちに相談するなんて考えたこともなかったのですが「子どもは子どもで、ちゃんと考えられる心を持っているから相談してごらん」と。
その後、子どもたちに相談したら、双子それぞれのしっかりした意見を聞くことができました。子どもだと思っていても、実際はちゃんと意思を持ったひとりの人間なんですよね。まだ小さいから、と思わずに子どもに相談して、一緒に考えてみることの大切さを実感しました。
ケロ:親は「自分が何とかしなきゃ」と思いがちですが、子どもはきちんと親のことも見ているんですよね。高校生になったポンちゃんの子のひとりが「ママの仕事はとてもいい仕事だから、ケロちゃんといつまでも続けてほしい」と手紙を書いてくれたんですよね。その言葉が私もとっても嬉しくて。……思い出しただけでも涙が出てきちゃいます。
ポン:その話を聞いていたら、私まで涙が……(笑)。
── 素敵なエピソードです。周りの人と子育てシェアができたからこそ、ケロポンズの活動をセーブすることなく続けてこられたんですね。
ポン:活動を始めて10年以上経って、そろそろ仕事も落ち着くかなと思って長野に移住したタイミングで「エビカニクス」がバズったんです。
ケロ:だから活動をセーブせずにやるしかなかったんですよね(笑)。
ポン:忙しくなってしまって、また都内に引っ越すかとても悩んだんです。それも双子たちに相談したら「私たちは長野の家が好きだからここにいる。ママはお仕事頑張って」と答えてくれたので、そのまま長野に暮らすことにして今に至ります。子ども達の気持ちと、周りの方々のサポートのおかげで、ここまで続けてこれたのだと思っています。
ケロ:私もその過程をずっと一緒に見てきたので、双子のペアレンツというか、気持ちはもうおばあちゃんですよ(笑)。
── お二人はMATO by MARLMARLペアレンツバッグを愛用いただいていますが、それぞれのお気に入りポイントを教えてください。
ケロ:私はリュックを選んで愛用しています。両サイドについたジップでバッグ全体を大きく開けられて、荷物が取り出しやすくて感動しました。セットの巾着袋もすごく便利ですよね! 赤ちゃんがいる人なら、オムツも収納できそう。個人的には、ポケットがたくさんあって小分けにアイテムを入れられるので重宝しています。
ポン:私はトートバッグを愛用しています。現役で子育てをしている友達にもめちゃくちゃオススメをしていて(笑)。内側についているカラビナに、子どもが脱いだ靴下を引っかけておくと、失くさずに済むんですって! しかも子育てしているときの外出って、忘れ物をして困りたくないじゃないですか。なのでどんどん荷物が増えてしまいがちなんですけど、このバッグは肩紐が太いのでバッグが重くなっても肩が痛くならないんです。
ケロ:リュックも、子育て用と限定せずに使えるバッグだと思います。
── まさに“小さな子どもを育てる人”限定ではないのが、この「ペアレンツバッグ」なんです。
ポン:わたしたちのように周りの人と共に子育てをしている人や、見守っている人、そんな様々な子育てのかたちを象徴しているようでいいですよね。
2人が選んだのは、お揃いのmossカラー
── お二人が子育てをしたり、間接的に育児に関わる上で、気をつけていることは?
ポン:失敗したら必ず謝ること。子どもに言いすぎてしまったときは、私も心を落ち着けてから「さっきは言い過ぎてごめんね。もう一回お話しよう」と言うようにしています。
ケロ:それは大事だね。あとは、子どもが悪いことをしていたら、第三者でもしっかり怒ることが大切だと思います。昔、ポンちゃんがいないときに、ポンちゃんの子どもが小さい子を倒しちゃったことがあって。そのときは真剣に怒りました。
ポン:やっぱり、親ではない大人からの言葉も大事ですよね。子育て支援センターを活用していたときは、三人の方に来ていただいたのですが、みんなそれぞれの立場から助言をくださって、子どもたちを愛してくれたんですよ。
子どもにとって親は一番の存在で、もちろん私も子どもたちを愛しています。でも、親以外にも自分を愛してくれる人がいることは、とっても大切な栄養になると思うんです。
ケロ:今ではポンちゃんの子どもも大学生になって、会話してると「そんな考えもあるんだ」と学ばされることもありますよ。ポンちゃんの子育てを通して「自分が親だったらどうしていたかな。」とか「子育てって大変だけど楽しいこともいっぱいあるね。」とか、その都度いろんな経験をさせていただきました。
── 社会の一員として子育てに関わっているペアレンツもたくさんいらっしゃいます。幼稚園勤務のご経験もあるお二人が、保育従事者のみなさんに伝えたいことはありますか?
ポン:昔はみんなで一緒に成長していく風潮がありましたが、今は個性を尊重しながら子育てをする時代。一人ひとりに寄り添う保育をすれば、子どもたちも安心して成長できるし、自分を認められるようになると思います。それがきっと、子どもたちの楽しい未来にも繋がるんじゃないかな。
── 最後に、ケロポンズのお二人の野望を聞かせてください。
ポン:エビカニのタイツを着て踊りたいという人が出てきてほしいです!
ケロ:2代目ケロポンズとなる若い方に、エビカニのツメを授与したいですね(笑)。
ポン:「子どもたちと一緒に踊りたい!あそびうたをつくってみたい!」という若い方がどんどん出てきてくれるといいなと思います。
ケロポンズが選んだペアレンツバッグ:CONTAINER TOTE BAG / PELICAN BACK PACK
企画:MATO by MARLMARL
編集・取材:小沢あや(ピース株式会社)
構成:伊藤美咲
撮影:戸松愛
1999年結成、増田裕子(ケロ)と平田明子(ポン)からなるミュージック・ユニット。子ども向け音楽や振付制作を手掛け、親子コンサートなどに年間100公演以上出演する。代表作「エビカニクス」は、保育園や幼稚園で人気の定番体操曲で、YouTube動画再生回数は1億5千万回を突破(2024年5月現在)。
MATO JOURNAL 編集部
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