MATO PARENTS JOURNAL
- KAWAII
- 32
- OMG
- 32
- YEAHHH
- 46
WHITE
ふたりでシェアするペアレンツギフト
MATO JOURNAL 編集部
ペアレンツびと Vol.06 - PARENTS AAAMYYY
MATO by MARLMARLでは、「マザーズバッグからペアレンツバッグの時代へ」 と題した、社会全体の子育て意識を拡げるプロジェクトを進めてきました。
本シリーズ企画では、自分らしいスタイルで子育てを楽しむ「ペアレンツ=子育てに携わるすべての人」に光を当ててお話を伺います。
今回のゲストは、ロックバンドTempalayのシンセサイザー担当、そしてソロでも活躍するミュージシャンのAAAMYYY(エイミー)さん。2023年に第一子を出産後も、大型フェスや全国ツアーなど精力的な活動を続けています。
そんな彼女に、周囲との子育てシェアについてインタビュー。支えとなった家族や仲間からの言葉や、お子さんの存在が音楽に与えたポジティブな影響も伺いました。
── AAAMYYYさんは妊娠する前、子育てに対してどのようなイメージを抱いていましたか?
もともと、自分が子育てをするイメージを持っていなかったんです。妊娠がわかった時点ではパートナーと結婚もしていなかったですし、子どもが欲しいとも思っていなくて、完全にノープランでした。
パートナーは一般的な枠に囚われない人なんです。一緒にいるうちに「構えずに、もっと自由に生きていいんだな」と考えるようになってから妊娠したので、親になることも自然に受け入れられました。
── 「親になるぞ!」というよりは「親になるタイミングが来たんだな」と。
はい。あれこれ考えるよりも、実際に子どもと一緒に過ごす中で、私たちもだんだんと親になっていくのかなと考えていました。
── AAAMYYYさんは妊娠中もファッションを楽しんでいて、ご自身の趣味も充実させていた印象があります。身体や体調が変わっていく中で、どんな風に日々を過ごしていきましたか?
妊婦期は一生に一度あるかないかの貴重な時期なので、思う存分楽しもうと思っていました。
趣味を楽しむのもそうだし、それまであまり着てなかったワンピースを着たり、あえて体型がわかるようなファッションをしてみたり。いろんな服を着るうちに、「私がお腹を出しても出さなくても、周りはあまり気にしていないな」って気がつきました。
そこで「結局、なんでも自分の好きにしていいんだ」と思えたんです。妊娠前から履いていたお気に入りのパンツも、お腹の部分にヘアゴムをつければ履けましたし、これまで通りのファッションも楽しんでいましたね。
── 妊娠中に、ふと「音楽活動はどうしよう」と悩んだり、不安になることはありましたか?
そうですね。妊娠が発覚したときはどうすればいいのか何もわからなかったので、真っ先にCharaさんに相談しました。そこで「自分たちだけでどうにかしようとするんじゃなくて、周りをどんどん頼っていいんだよ」という感じで声をかけていただいて。
Charaさんがくれた言葉のおかげで、気負わず等身大でやっていこうと思えました。
── Tempalayのメンバーは、産休をとることを報告したとき、どんな反応でしたか?
ちょうどバンドも「ゆっくり行こう」というタイミングだったし、私がお休みすることをマイナスに捉えることはおそらくありませんでしたね。ドラムの夏樹にも小さな子どもがいるし、ボーカルの小原も「好きなだけ休んで」と言ってくれました。
──
周囲の優しい言葉が支えになっていたんですね。産後2カ月で復帰されて、今は全国ツアーなど出張も多いかと思います。
子育てをしながらの音楽活動はどのように両立されているのでしょうか。
ツアー中やスタジオに入るときなどは、パートナーや家族やシッターさんに子育てを担当してもらっています。仕事中はしっかり音楽に集中。遠征中は、スケジュールの合間を見ながら、ビデオチャットで家族との時間も作っています。メリハリをつけていますね。
── メンバーや周りの方に、子育ての相談をすることはありますか?
Tempalayのドラマーの夏樹は子育ての先輩なので、1から10まで聞きました。スタッフにも子育て中の方がいるので、会うたびに自然と子どもの話をしています。
── チーム内に話せる方がいる環境は、心強いですね。
私が出産した後、ミュージシャン仲間も立て続けに子どもを産んだので、そこでも相談や情報共有をしています。あと、知人が誘ってくれた1〜2歳の子どもを持つ人が集まるぺレンツコミュニティにも入っていますね。情報交換もするんですが、子どもたちが走り回っている様子を見て、「かわいいね〜」と言い合うだけの和やかな会です。
── 気軽に話せる子育て仲間がたくさんいるんですね。
はい。頼りになる人がいっぱいいて、育児記録アプリ の「ぴよログ」の情報も、10人くらいでシェアしています。ごはんや睡眠などの日頃の様子を簡単に共有できるので、すごく便利です。
── 育児記録も友人とシェアしているんですね。どんなメンバーとシェアしているんですか?
パートナーの家族が周りの人をどんどん巻き込むタイプで、バンドマンやその兄弟、映像関係者など、業種問わずさまざまな人が、いつか親になるときの予行演習も兼ねて、我が家の子育てに協力してくれています。「みんなに『フルハウス』のおいたんみたいになってもらおうよ!」と、おいたん計画がスタートしました。
── おいたん計画、面白いですね(笑)。
ほとんどパートナーの友達ですが、もともと、家の垣根なく遊ぶような仲の良いメンバーなんですよね。その流れで、子育ても一緒にしてもらっています。
── AAAMYYYさんが周囲と子育てシェアをするときに、心がけていることはありますか?
子育ての経験がない人がほとんどなので、「子どもが無事でいてくれたら、失敗しても大丈夫だよ!」と伝えています。最初はわからないことだらけだと思うので、知識を共有しながらみんなで子育てしていますね。
── AAAMYYYさんが普段持ち歩くペアレンツバッグの中身は?
バッグの中には子ども用のカトラリーやおやつ、おむつなどを入れています。常温で保存できるスムージーは便利ですよ。
── AAAMYYYさんはもともと、MATOのペアレンツバッグのことも知ってくださっていたそうですね。
SNSで見て、いいなと思っていました。
従来のマザーズバッグは、男性が持ちにくいデザインやサイズ感のものが多いなと感じていたんです。ジム用のバッグなどを使ったこともあったんですけど、やっぱり子育てグッズを持ち歩くには実用性にかけてしまって……。MATOのペアレンツバッグはジェンダーやファッションを選ばず持ち歩けるので、子どもを預かってもらうときにも、バッグごと渡せる。
まさに「おいたん計画」のみんなで使えるバッグだなと思って気に入っています。
── 子育てをするようになったことで、AAAMYYYさんの楽曲制作にどんな変化がうまれましたか?
子どもを見て感じたことは、常にメモして制作に活かすようにしています。子どもが生まれたことで行動範囲が変わったので、新しい視点を得られるようになりましたね。
これまでは行かなかった日中の公園に行くようになったことで、砂場で遊ぶ子を見たり、独特な遊びを開発している子に衝撃を受けたり。クリエイターは常に新しいものを求めているので、良い変化だなと思います。
── お子さんから得たインスピレーションが、楽曲に活きていると感じる部分はどこですか?
ソロ曲としてリリースした「拝啓生きとし愛おしきあなた」に「New morningに無限の輝きを放つ赤子が ねむりから助けてくれた」という歌詞が入っています。これは、産後に気分が落ち込んで急に涙が出てきたり、悪夢を見てしまったり、不安を抱えていた時期に書いた曲なんです。
憂鬱な気分で眠った日も、朝になると生きることに希望しかない子どもが私を起こしてくれる。子どもの存在ってすごいな、と思った瞬間のことを歌詞にしました。
── AAAMYYYさんも産後、気分が鬱々としてしまったこともあったんですね。
はい。やっぱり、「母親」のイメージというか、「こうありたい」という姿と現実の自分のギャップに悩んでしまった時期がありました。
「赤ちゃんを抱っこして、腕が疲れても大丈夫」「子どもは可愛いから、眠れなくても大丈夫」とか、そういうハイパーママになりたかったけど、無理だから落ち込む……そういう些細なことが積み重なって、ちょっと限界がきてしまったのだと思いますね。
── そこから、気持ちを立て直せたのは何かきっかけがあったんでしょうか。
義母から「困っていること、悩んでいること、思ったことは言葉にして。そうしないと解決しないから、なんでも話してね」と言われたんです。そこから、家族や特にパートナーになんでも話すようになりましたね。
私は「苦しい時こそ笑顔!」と思い込んでいた部分があったんですが、悩みや大変なことは周囲にシェアすることで、一気に楽になりました。あとはSNSやリスクヘッジ的な育児記事など周りからのノイズをできるだけ少なくして、外的ストレスを受けないように意識して過ごしましたね。
── AAAMYYYさんは、自然豊かな長野県で育ったんですよね。こんな経験をさせてあげたい、と考えていることは?
実家はかなりの田舎なんです。良くも悪くも古い文化が残っていたり、親戚にも近所にもさまざまなタイプの人がいました。父親は自然の中で虫や土壌などの研究をしてきた人で、「どろんこになってもいいし、汚れも気にしなくていいよ」と言ってくれました。おかげで、いろんなものを触って遊んでいましたね。
── おおらかなご家庭だったんですね。
私は3姉妹なんですけど、次女がグレた時期があって。でも、両親は彼女が反抗する様子までも楽しんでいて、ヤンチャな行動も「天才○○ちゃん!」って、否定せずに受け入れていたんですよ。
一方で、祖父母世代は古いステレオタイプが少なからずあって、反面教師にすることも多々ありました。そういう環境で育ったので、私も子どもに対して正解・不正解をこちらから提示したり、社会の正しさでジャッジすることはしないようにしよう、と大人になって考えるようになりましたね。
── 素敵ですね。これからお子さんへ繋いでいきたい想いは?
やっぱり、何でも、誰かの物差しで良し悪しを判断したりしないことですね。できないことがあっても、それもそれぞれの個性ですから。
あとは、家族の中でも役割を決めつけないこと。もし今後、二人目が生まれたとしても、上の子のことはお姉ちゃん扱いしないと決めています。「お姉ちゃんだから我慢して」とか「下の子に優しくしてね」と言わないようにして。
── あくまで、個人として向き合うということですね。
そうですね。保育園という社会に出てママ・パパ・先生などの概念を知っていく段階なので、社会的な善悪基準は嫌でも学んでいくと思います。でも少なくとも家は子どもにとって安心できるセーフスペースであれたらいいなと。
── 家族の立ち位置や役割に囚われることなく生活できているんですね。最後に、世の中のペアレンツにメッセージをお願いします。
今回お話したことはあくまでも私のやり方です。私が思う正解は、他の人にとっては正解とは限りませんし、そもそも正解はないですからね。自分なりの楽しい子育てをしてもらえたらいいなと思います。
そのためには自分がどうしたいかを、どんどん言葉にすることが大事かなと。そうすれば周囲に伝わって、みんなが手伝ってくれるし、理想に近づいていくと思います。
AAAMYYYが選んだペアレンツバッグ:PELICAN BACK PACK
企画:MATO by MARLMARL
編集・取材:小沢あや(ピース株式会社)
構成:伊藤美咲
撮影:戸松愛
1991年生まれ、長野県出身。2017年からソロとしてAAAMYYY(エイミー)名義で活動を開始し、2018年6月よりTempalayに正式加入。2024年5月にはTempalayとしての5thアルバム『((ika))』をリリースし、10月3日には日本武道館単独公演を予定している。AAAMYYYソロとしては2024年7月からビルボードライブツアーが開催決定。
MATO JOURNAL 編集部
MATO JOURNAL 編集部
MATO JOURNAL 編集部
MATO JOURNAL 編集部