MATO PARENTS JOURNAL
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PINK
超低出生体重児の外来通院のはなし:眼科編
街角レモン
生死を彷徨った娘が、無事一歳の誕生日を迎えた。
同じ頃、念願だったマイホームも完成。
ドタバタな一年だったが、ようやく暮らしも落ち着いてきた。
可愛い娘と愉快な夫。
ああ、幸せだ。心が満ち溢れている。
そんな日々の中にも、ちょっとした憂鬱が転がっている。
休みの日は銭湯に行くのがルーティーンなのだが、幼い女の子にお腹をジーーっと見られることが3回ほど続いた。
それも無理はない。
「帝王切開 / 傷跡 / ケロイド」なんかで検索をかけて出てくる症例写真よりも、ずっと大きな傷跡が、わたしのお腹にはある。
銭湯に行くくらいなので、大きな傷があること自体、それほど気にしていなかったのだが、産後8ヶ月ごろからジンジンと痛みが出てきた。
我慢はできるけど、慢性的に続く不快感。
見た目だけの問題なら無視できたのだが、痛みが伴ってくると話は変わってくる。
重い腰をあげ、形成外科に通うことにした。
先生に傷口を見せるなり、開口一番「こりゃひどいね」の一言。
月に一回、ステロイド注射を患部に複数本打ち、毎日の飲み薬と貼り薬。
3本柱で治療を進めていくことになった。
「傷が大きいから長期戦になるよ」と伝えられ、次の妊娠予定の有無について聞かれた。
どうやらわたしが行う治療では、治療をしている期間、妊娠をしない方がいいらしい。
前回の出産のこともあり、第二子は考えてはいなかったものの、看護師さんに「うっかり妊娠しちゃった!なんて言えないからね。しっかり避妊してね。」とまでハッキリ言われてしまうと、少し心がウッとなった。(分かりやすく忠告してくれてありがたいのだが。)
そんなこんなで、ケロイド治療の幕が開け、月に一度せかせかと形成外科に通い、激痛が走る注射治療を受けている。
別に生死に関わることではないからいいのだけど。
それなりの憂鬱である。
こんな文章を書いていると、過去の憂鬱も思い出してきた。
実はケロイド治療をするのはこれが2回目で、大学生になって張り切って開けたピアスも見事に大きなケロイドになり、除去する手術をしたが、それもまたケロイドになり、結局ステロイド注射を複数回打って、完治した。
ピアスひとつでこんなことになるなんて。
あまりにバカバカしい。
「しっかり避妊してね。」のセリフも実は2回目。
一般的に、帝王切開での出産となった場合、次の妊娠は最低でも一年以上間隔を空けることが望ましいとされているようだが、超早産での出産だったわたしは、より子宮への負担が大きくなっているらしい。
産後の1ヶ月検診で、「できれば2年は空けてほしい。しっかり避妊してね。」と言われた時は、知り合いの年子3姉妹のちびっ子たちが脳裏に浮かんだが、ただただ「はい。」と頷いた。
いくら自分が思う“しあわせ”を掴んでも、ギリギリ自己解決できるくらいの、派手に悩むほどでもない出来事が、定期的に転がり込んでくる。
わたしがよく聴くラジオのパーソナリティーも自身の失敗エピソードを毎週笑いに昇華しながら話しているし、好きなエッセイストも不毛な日常をユーモアを交えてつらつらと綴っている。
きっと、大なり小なりみんな何かを抱えながら生きているのだろう。
SNS上でキラキラとした生活を送っている、あの人も。
日々、散りばめられている抗いようのない憂鬱。
できればないほうが嬉しいのだけど、それがあってこそ、人生に面白みが出てくるのかもしれない。
……そんな大層な話でもないか。
ともかく、はやくお腹の傷を治したい。