MATO PARENTS JOURNAL
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WHITE
パパも家族、ママも家族。結婚、離婚、家族とは
Satomi Nakazawa
「わたしは行き来している」、と思っていて、
2千人ほどの山あいの集落に暮らし畑を散歩する日々も好きで、
100km先の札幌へ通って都市的な仕事をすることも好き。
夫が北海道産の有機質肥料で育てている作物を毎日食べながら、
ひと仕事終えたなと思う夜の帰り道、ファーストフードを食べたくなる。
「なにかに傾倒できていない」。
わたしは昔っから自分のことをそう思っていて、
子どもの頃からはまる趣味もなければ、アーティストにはまることもなく。
ただ、好みはある。
そのときどきの好みを選び取って今の私が出来上がっている。
____
今年の2月、北海道はまだまだ雪深かった時にお迎えしたレザーアイテムがあって、
BELT PACK TERRA 〈防汚巾着付きウエストバッグ〉。
バッグに付いていたタグも興味深く。Portierra(ポルティラ) とは、“tierra” = “地球、大地” “por tierra” = “地球の為に”。
バッグに使用されたレザーは、「日本の野山で育った野生の鹿の革」とのこと。
わたしの住む地域は山あいにあり、家の裏はすぐに山。
鹿は、庭先まで来ることもあるほどに身近な存在です。
ピィ!ピィ!と鳴く声が聞こえてくることも。ちなみに、鹿はピィと鳴くのだと結婚してこの土地に来て初めて知りました。
こちら、網戸越しの遠景のためとても見づらいですが、自宅2F窓から見えた鹿の後ろ姿。ある春の日のエゾシカさん。
そんな鹿も、保護政策の時代を経て現在とても増えていると言われていて、家業が農家である我が家はその問題にまさに直面し続けています。
山あいの畑でトウモロコシを育てれば、鹿(や熊や狐など)がやってきてどんどん食べてしまうこともあり、
山芋を育てれば、鹿が葉っぱを食べてしまうこともある。葉っぱを食べられると土中のお芋が適正に育てなかったり枯れてしまう。
農林業への被害、とニュースで聞くことが、家業に直結しています。
土を耕し、種を植えて芽が出て、雨の日も晴れの日も一日一日手と目をかけ、ようやく実った作物で家族を養っている人にとっては、「守りたいもの」は畑になり、鹿からの被害をどうにかしたいと強い意志をもつことを理解できる。
鹿たちが害獣と呼ばれ、有害駆除活動という名のもと捕獲・駆除されるということがわたしにとって身近に起こりますが、正直まだそのことに慣れずに心が痛い。
鹿も「命」であることに違いはない。…
何が正しいのか、答えは出ない。
バッグが届いた2月のその日、夫と娘と一緒に雪山へ行った。
いつかの時点まで野山に生きていた鹿だったのだと思うと、田舎に暮らす私の元に縁あって届いたなら最初に野山に連れていってあげようとなんとなく思った。
山を歩けば、北海道の鹿、エゾシカの足跡。
車に置いていかずに、持ち歩きたいお財布やスマホ、ちょこっと使いたい時があるティッシュなどを入れられ、軽いアクティビティのときにさくっと持てるバッグとしてもとても便利で。
このときは双眼鏡で野鳥を見たあとの瞬間と思われ、なんだかとても楽しかったのでしょうね笑。
鹿革は革のなかでも、軽くて、雨などの水分に強めで、型崩れもしづらい。
約半年間けっこうハードに使わせてもらって、本当にそうだなと実感しています。
ここ最近は、夏野菜を持っての雨の日のマルシェ出店や、
築130年の石蔵に収蔵されていた古民具の展示会をおこなったり。
写真は展示会設営の合間の休憩中、ふとひとりになったときに!ペンやお財布や車のキーなどを入れて身軽に動けるよう。
雨予報が出ていた日の、知人の快気祝いガーデンパーティへ参加したり。
多国籍な方々に囲まれ、娘中央にてパパを見上げる。
久しぶりに開催された地元のお祭りに娘と出かけたり。
お祭りに出店されていた知人ハスカップ農家さんのスムージーを買い(ちなみにハスカップはブルーベリーに似た果樹です)、飲み終わる前に娘と近くの河原まで散歩をした。
ゴミ箱は見当たらないので、そこで活躍したのが、バッグにカラビナで付属されている「防汚巾着」。使用後のウェットティッシュなどを入れておくことを想定されているとのことなので、ありがたくひとまずのカラ入れにして、両手が空いて助かった。
少し雨に当たってしまった日は、やわらかい布で拭いて(簡単に…)、紙を詰めて干して、自分なりにメンテナンス。
そんな風にして、なかなかハードに愛用しているように思う。
この日は海辺でのリモートワークへお供してもらいました。
ちなみにカラビナで付属している防汚巾着はこんな感じで、バッグのパーツの一つとしてきちんと取り付けられるデザインになっています。
わたしは行き来していて、
物の、「捨てる以外の選択肢をつくりたい」として古民具を大切に扱う展示会を設営した夜の帰り道、
久しぶりにファーストフードをテイクアウトをして帰る。
ポルティラレザーという、地球環境を第一に考えたジビエレザーのバッグを愛用してどこの地域の野山にいた鹿だろうかと気になりながら、
どこ産のお肉、どこ産のポテト、どこ産の小麦粉なのかわからないまま、それでいいやとテイクアウトの夕食をとる。
傾倒できていないなぁと思う。
急ぎの車中のリアル…!
それでも、展示会の設営からバタバタと自宅へ帰る車中、急ぎで確認したいことがあり車を停めてPCを開き一旦また発進したあと、
無造作に積まれたバッグたちを横目に気づいて、
丁寧に暮らせている方ではない私の暮らしにもきちんとついてきてくれて、ありがとうと思った。
君たちが目に留まると、嬉しいよ。
わたし自身はこんな風に慌ただしくても、「命や、大きく言えば地球の未来を、大事に考えられたアイテムをわたしは使っている」という事実が日常のなかにあることに安心する。
そうしていろんな考えや思いや行動を行き来しながら、自分なりの心地よい偏りを見つけていきたい。
その偏りが、娘の世代、その次の世代にとっての、良いことであって欲しい。
以前、ジェネレーションの垣根について記事を書いたときに、そのときは熱すぎるかな!!と思って消してしまった文章があって、
"祖父母世代(またその先代たち)がそうした根気の手仕事で成り立たせる時代で子育てし、
親世代は流通や交通がどんどん便利になり勢いのある時代で子育てし、今の私たちの時代につながっている。"
そしてそのとき書いていた続きは、
"今の私たちは未来に残すべきものを取捨と整頓する時代だろうか。
ではその先は?明るく美しい時代であって欲しい。
そして私たちの世代がやるべきことが取捨整頓だけではつまらないので
何かを創造することができたらと思う。
次の世代へ、次の次の世代へとっても、足がかり・ステップとなるような何かを築けたらいいなと思う。"
自分ひとり、いち家族が行うアクションのインパクトは小さくても、なにもしないよりずっと良い。
そして、きちんと持続性や命の尊厳のこと、未来のことを考えられたアイテムとブランドを選んでいきたい。
そんなことを、いつ頃からかファーストフードでも自分なりの好みをくわえて「塩なし」でオーダーするようになったポテトを食べる帰り道、考えたのでした。
鹿も暮らすわたしたちの家のまわり、畑にて(鹿さん大好きカボチャ畑)。娘も「シカシャン」を見かけられたら喜びます^^ 今度、ママが持っているこのバッグは鹿さんなんだよと伝えてみよう。
Satomi Nakazawa
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Satomi Nakazawa
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